何をインプットする「癖(クセ)」があるか?かな。
ここ10年くらい、世の中は空前絶後の
アウトプットブーム
「アウトプット」と名の付くビジネス書は多いし、やたらアウトプット!アウトプット!言ってる胡散臭いインフルエンサーがSNSにはたくさんいる。
特にエンジニア界隈ではインプットだけすることを「お勉強」などと言って揶揄している人も多い。
アウトプットしてるやつが偉い
仕事でも趣味でも、人に評価されたければ「成果」つまり「アウトプット」を出してなんぼ
一見すると正しいことを言っているようにも思える。
でも本当にそうなのだろうか?
自分のアウトプット(成果)に対する評価軸って大きく次の3つがあると思う。
- 量
- スピード
- 質
「量」というのは、「質」は最低限でいいので、とにかくどれだけたくさんアウトプットできるかってこと。
「スピード」というのは、アウトプットするスピードのこと。
そして「質」は更に次の2つに分けることができる。
- スキル的な質
- 創造的な質
「スキル的な質」ってのは、道具の使い方が上手くなるといったような意味。
デッサンを繰り返していれば絵は上手くなるだろうし、楽器を練習し続ければ上手に演奏できるようにもなる。
それに対して「創造的な質」とは、うまく言語化するのが難しいんだけど、創造力を駆使して、自分のアウトプットでどれだけ多くの人を感動させられるかってこと。
「スキル的な質」でも人を感動させることはできるのでは?と思うかもしれない。
けど、
高いスキルを伴うアウトプット
と
高い創造力を伴うアウトプット
では、後者の方が圧倒的に多くの人を感動させることができるってのは、なんとなく想像がつくと思う。
例えるなら、既存の曲のカバーしか歌えないバンドと、自分で作曲までできるバンドとの違い。
多くの人の常識・価値観を崩すような感動は、スキル的な質のみでは限界がある。
これら評価軸の内、アウトプットを繰り返すことで磨かれるのは「量」と「スピード」、そして「スキル的な質」。
4つの内、3つがアウトプットで磨かれるので、世間一般で言われているようにアウトプットは自分を成長させることに必要なことだと分かる。
ただしこれは見方を変えると、アウトプットを繰り返しても「創造的な質」だけは上げることができない、ということでもある。
で、ここからが本題。
みなさんは「適性」って何のことだと思いますか?
僕は「脳の使い方の癖(クセ)」だと思っている。
この「癖」は、アウトプットではなくインプットの方に強く現れる。
上で書いたように、アウトプットだけを繰り返した場合、磨かれるのは、
- 量
- スピード
- スキル的な質
これら3つ。
別の言い方をすれば、これら3つは適性に関係なく、アウトプットを繰り返すことで磨くことができる。
つまり、努力のウェイトがでかい。
しいて言えば、そのアウトプットすることを「楽しい」と感じて没頭できるのであれば、それは適性と考えることもできるのかもしれない。
だけどそれもある程度、自分自身や他人によってコントロールすることができる。
それに対して「創造的な質」というのは、アウトプットでは磨かれない。
なぜならそれは「脳の使い方の癖」と深い関係があるから。
以前僕は「思考の癖」について「言語的な思考」と「視覚的な思考」の2つがあると書いた。
例えばマンガを読むにしても、吹き出し文字に着目してそれをしっかり読む人と、絵に着目して文字を流し読みする人がいる。
いわゆる「速読」が得意な人って視覚的に文章を理解してるっていうけど、そんなところにも「脳の使い方の癖」が現れる。
もっと言えば、思考だけでなく五感の感じ方だって人によって異なる。
駅構内に掲載されている広告を、デザインの構図や配色の観点で見ている人もいれば、広告があることをそもそも認識すらしていない人もいる。
思考優位で、五感に対して鈍感な人もいる。
動画制作について勉強するようになって、意識的にカメラワークや画角、構図、テロップの配置や配色などに着目してテレビCMを見るようになったという人は多いと思う(僕だけど)。
でも一方で、幼い頃から無意識的にそういったものに着目している人もいる。
こういった、普段何を意識的・無意識的にインプットしているのかが「創造的な質」に影響を与えている。
そして適性の高い人というのは、その分野のアウトプットに必要なインプットを、普段から無意識的(習慣的)に行っている傾向があるように思える(しかも解像度が高い)。
ではここで更に質問です。
普段からソフトウェア開発やプログラミングなどの専門書を読むことが習慣付いているソフトウェアエンジニアがいたとする。
この人はプレイヤーと(エンジニアの)マネージャ、どっちの適性が高いと思いますか?
この質問に正解はないんだけど、僕の考えというか今まで見てきた限りでは、この人はマネージャとかプロジェクトリーダー向き。
普段から専門書を読むことが習慣付いているのでプレイヤーとしても優秀だとは思うけど、この手のタイプの更に上を行くガチ勢が存在する。
そのガチ勢というのは、質の高いオープンソース(=無償で公開・配布されている)プログラムを普段から読んでいたりする。
つまり何が言いたいかというと、ガチで適性の高い人というのは、自分がアウトプットするものと同種のものをインプットしているってこと。
この「アウトプットと同種のもの」ってのが重要。
専門書もエンジニアのアウトプットに強い関係性はあるものの、同種のものではない。
この人は、(創造的な)質の高い専門書やマニュアルは書けても、質の高いプログラムが書けるとは限らない。
一方で、質の高い専門書やマニュアルを書くだけの適性があるならば、人に分かりやすく説明する能力も高いはずだから、マネージャとかプロジェクトリーダーにも向いてそうだなと思う。
これが僕なりの適性の考え方と見つけ方。
適性とは本人にとってあたり前のことの中に隠れているんだよ。
ばいちむ