ぽりたんたんblog

30代フリーランスの何気ない日常とエッセイ。

フリーランスエンジニアはAIに仕事を奪われるのか?

今はChatGPTを契機とした第4次AIブームの盛り上がりもある程度落ち着いてきた印象がある。このタイミングで改めて、僕の本業であるフリーランスエンジニアという仕事はAIによって奪われてしまうのか?考えてみたいと思う。

ちなみにここで言う「フリーランスエンジニア」とは、仕様決めやマネジメントを主業務とするシステムエンジニア(SE)ではなく、実際に手を動かして設計やコーディング(プログラムを作ること)をするような職業のことを指している。つまり、プレイヤーとしてのソフトウェアエンジニアのことだ。

以下では単に「エンジニア」と書いた場合、「フリーランスエンジニア」かそれに準じた仕事をしている「会社員エンジニア」のことを指す。また僕の職種が「組み込みエンジニア」なので、その立場での考察になっていることを予め断っておく。

 

目次

 

結論

結論を先に書くと「仕事の抽象度が上がる可能性はあるが、AIにエンジニアの仕事が奪われることはない」と考えている。これはポジショントークではない。以下でその理由をだらだらと書いていく。

 

理由

実は、ものづくり業界(特に自動車業界)では、プログラムの自動生成技術は20年以上前から存在する。製品の試作開発だけでなく量産開発でも使われた実績がある。

興味のある人は「ト〇タ 自動コード生成」とか「マ〇ダ 自動コード生成」とかでググってみればたくさん関連記事がヒットする。「MATLAB/Simulink」とか「モデルベース開発(MBD)」なんていう用語が書かれていればそれが僕の意図した記事だ。

これはプログラムを、エンジニア以外の人でも理解しやすい絵(ブロック図)として表すというもの。更に物理シミュレーションも利用できるので、作ったプログラムで正しく自動車が動くのかをすぐに検証できる。

この技術の導入により、従来より大幅に開発工数を削減できたと言われている。その後、自動車業界以外(建機業界、農機業界、医療機器業界など)でも導入されるようになった。

しかしその結果どうなったかというと、開発期間が短くなるか、開発規模が増えていった。結局、人手不足は解消されないままだ。自動車業界はいつだってブラックなニュースや噂が絶えない・・・

ほかの歴史を振り返っても同じような事実が見えてくる。

プログラムの開発が、アセンブラ->C言語->Pythonとプログラミング言語の抽象度が上がる度にシステムの開発規模は増えていった(あるいは開発期間が短くなった)。

半導体(システムLSI)の開発も、回路図を直接描くことから、論理合成->高位合成(どちらもプログラムから回路図を自動生成するしくみ)と抽象度が上がる度に、同じことが起こった。

AIがプログラムを生成できるようになっても、この歴史を繰り返すだろうと僕は考えている。

「指示されたことしかできないエンジニアはAIによって仕事を奪われます」なんていう意見もよく耳にする。これも結局、過去の技術進歩の歴史を経てそういう人たちが今もなお仕事を奪われてない(エンジニアとして働いている)ということはどういうことなのか考えてみれば分かるだろう。

つまり何が言いたいかというと、経済が資本主義をベースに回ってる以上、AIによって開発がどんなに簡単になろうが、浮いた人と時間(工数)の分だけ別の仕事が増えるだけなのだ。

そして少子高齢化はこの先、20年以上続くことがほぼ確定している。移民受け入れ等による海外からの労働力確保など、日本の経済環境(労働環境)が大きく変化しない限り、AIがいくら進化しようとも人手不足は今後も続くだろう。

以上のことから「仕事の抽象度が上がる可能性はあるが、AIにエンジニアの仕事が奪われることはない」という結論になる。

 

反論

ただしAIによってエンジニアの仕事が奪われる可能性もまったくないわけではない。従来のプログラムの自動生成技術と、生成AIによるものとでは決定的な違いが1つだけあるからだ。

AIは人間の「忖度」をある程度理解できる。従来の自動生成技術ではエラーになるような、抽象的で曖昧な指示に対してもそれなりの回答を返してくる。エンジニアの仕事がAIに奪われるとしたら、この辺りが今より圧倒的に進化した場合だろう。

現状「忖度の理解力」では生成AIに分があり、「生成されたプログラムの正確さ」では従来技術の方が遥かに分がある印象だ(従来技術では、人間が具体的な指示を与えているわけだから当たり前だけど)。

「忖度の理解力」と「生成されたプログラムの正確さ」を兼ね備えたAIが発明されたら、開発環境がガラッと変わる可能性があり、その場合フリーランスエンジニアの仕事がなくなる可能性も考えられる。そんな技術が現実的に実現可能なのかは分からないが・・・(そもそも人間でも難しいよね・・・)。

 

おわりに

AIが進化しても資本主義経済が新しくエンジニアの仕事を作ってくれるから、エンジニアの仕事がAIによって奪われることはない、ということをグダグダと書いてきた。

とはいえ、これはあくまで僕の意見。最終的には「AIによって仕事を奪われる」というリスクを自分が許容できるかどうかで自身のキャリアを判断するのがいいと思う。

具体的に言えば、仕事がAIによって奪われたとして、

  • まったく畑違いの仕事で生活したいと思うか?
  • 畑違いの仕事で今と同等の生活水準を維持できる自信があるか?

こういうことを自問自答して「このままプレイヤーを続けるか」「マネジメントよりの仕事にキャリアチェンジするか」など、自身のキャリアを選択したらいいんじゃないかな。

なんかすごい硬い文章になっちゃったけど、たまにはいいよねー
ばいちむ