ZV-E1はソニーから発売されているVLOGCAMシリーズの最上位モデル。フルサイズイメージセンサー搭載のレンズ交換式ミラーレス一眼カメラだ。
VLOGCAM ZV-E1 | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー
僕は、2023年4月21日の発売日から1か月くらい経ってから購入した。かれこれ2年くらい使ったので、そろそろ今回ブログネタにレビューでも書いてみようと思う。
ちなみにこのカメラを購入する前は、10年くらい前に買ったカシオのコンデジを旅行や観光で写真撮るのに使っていた。そのときは、露出とかRAW現像とかよく分からなかったので完全カメラ任せで撮ってたな。またスマホ以外で動画撮影はしたことない。そんなカメラ完全初心者の状態からの購入レビューになる。
とはいえ、このカメラを購入してからはそれなりにカメラや写真撮影、動画撮影について勉強したので、今はそこそこ知識があるけどね。本レビューでは、なるべくカメラに詳しくない人にも分かるように書きたいと思います。
目次
購入までの経緯
僕は本業がフリーランスで働くエンジニアなんだけど、先々のことを考えると、
- 本業以外での別の収入源をつくっておきたい
- 個人の影響力を付けて企業から直接案件の獲得につなげたい
と漠然と思っていた(このブログを続けてるのもそんな理由です)。
そんな中、TikTokやインスタのリール投稿機能、YouTubeショートなど、ショート動画が大ブームになった。またYouTubeでも女子大生や専業主婦がSNSで月100万円稼いだみたいな動画を見かけるようになって「それだ!」って思ったんだよね。
この「SNS&ショート動画ムーブメント」の波に乗りたい!それで新しくカメラの購入を検討したわけなんだな。ショート動画をやるにしろ、フィード投稿をやるにしろ、写真と動画の両方をそれなりのクオリティで撮れる必要があると思ったから(今思えば、写真や動画のクオリティよりコンテンツのクオリティの方が大事だから、カメラを購入するのはもっと後でもよかったかもしれない)。
とはいえ、スマホのカメラもかなり画質いいし、スマホで十分では?とも考えたんだよね。ただ僕が使っていたスマホはiPhone SE(格安スマホ)だった。画質的にせめてiPhone Pro(ハイスペックスマホ)には変えた方がいいよなぁと思ったんだけど、これが意外と高い。iPhone SEの倍以上する。「格安スマホ+ミラーレス一眼カメラ」を使い続けるのと「ハイスペックスマホ」を使い続けるのとで、どのくらいの価格差があるのだろうか?ふと疑問に思った。
ちょっと考えてみよう。
ハイスペックスマホと格安スマホの年間あたりの実質価格差[円/年]*1
× ミラーレス一眼カメラの使用年数[年]
だけ、ミラーレス一眼カメラを安く買えると考えると、、、、
例えば、iPhone SEのような格安スマホとiPhone Proのようなハイスペックスマホとの年間あたりの実質価格差が2万円だと仮定した場合、ミラーレス一眼カメラの使用年数を13年とすれば実質26万円引きで買えることになる。26万は現在のZV-E1(ボディのみ)の市場価格相場であり、13年使えば実質0円でミラーレス一眼カメラが買える!!笑
と、そんなようなことを妄想して、どうせならミラーレス一眼カメラを買おうと考えた。スマホでゲームしないし、カメラだけのためにSEからProに乗り換えるくらいなら、いっそ本格的なミラレース一眼カメラを買ってしまおう、みたいな感じ。スマホとの差別化にもなるしね。
そこからは、YouTubeやSNSでめっちゃ情報収集した。調べたところ、概ねこんな感じの傾向があることが分かった。
- 写真撮るならフルサイズイメージセンサー搭載のカメラが良さそう(画素数ではなく、センサーサイズが画質に大きく影響する)
- 写真だけなら、どのメーカーのカメラもスペックは大差ない(絵作りやカメラのデザインみたいな好みの問題だけ)
- 動画だとソニーのカメラが強い
- 動画だと多くのYouTuberが共通して、ソニーの「α7sⅢ」や「FX3」「FX30」あたりを勧めている
- Instagram界隈のフォトグラファーは、ソニーの「α7Ⅳ」を使ってる人がやたら多い
ということで、ソニーのフルサイズイメージセンサー搭載カメラ、とりわけ「α7Ⅳ」か「α7sⅢ」辺りを買っとくのが無難なんだろうな、と思った。ただこれからは動画の時代。写真よりも動画を重視するなら「α7sⅢ」なのかなと、こやつの購入を検討していた。
そんなことを調べていた矢先、VLOGCAMの最上位モデル「ZV-E1」が発売された。イメージセンサーは「α7sⅢ」や「FX3」と同等のものらしい。それでいて、AIオートフォーカスやオートフレーミングなど、「α7sⅢ」や「FX3」よりも性能が上がり、多機能になっていた。
「じゃあ、新しい方がよくね?」と思ったね。「α7sⅢ」も発売日が2020年10月9日と、ZV-E1より2年半くらい前のモデルだったし。それでいて価格も「α7sⅢ」より10万円以上安かった。いくらインフルエンサーが勧めているからとはいえ、わざわざ性能の劣る古い機種を高い値段で買う理由はないよね。*2
まぁそれでも1か月くらい様子見して、カメラ系YouTuberが投稿したレビュー動画も確認して、最終的に購入を決めた。そんな感じ。こうやって書くと改め自分は「石橋を叩いて渡るタイプ」なんだなーってしみじみ思う。大成はしないな!!
ちなみに購入にあたっては、この方のYouTube動画がめっちゃ参考になった。カメラ系インフルエンサーにありがちなメーカーバイアスがなく、淡々と客観的なレビューをされてるので、おすすめです!
長くなったけど、以上が僕がZV-E1購入に至った忖度のないガチ本音。
※説明省いちゃったけど、センサーサイズについては以下のサイトが分かりやすい
カメラの基礎知識/カメラのイメージセンサーサイズの違いとは | [法人向け] カメラ | ソニー
僕が所有するレンズ
標準ズームレンズの「SEL2070G」をZV-E1本体と一緒に購入した。これも決め手はYouTubeでインフルエンサーが絶賛してたから(めっちゃ影響受けてるな!!!)
確かにインフルエンサーの言うように、使いやすいレンズだなーと感じる。その理由は大きく2点あって、
- 広角側が20mmまである(多くの標準ズームレンズは広角側は24mmまで)
- 最大撮影倍率が0.39倍(最短撮影距離が0.25m)と寄れる*3
この辺り。
その後1年くらい経ってから、せっかくレンズ交換式のミラーレス一眼カメラを買ったんだから、ということで望遠ズームレンズの「SEL70200GM2」を購入。
この2本あれば7割方の撮影はカバーできるのでは?と思う。あとはイベントとかでもっと望遠で撮る必要があればテレコン*4を買ったり、物撮り用にもっと寄って撮りたければマクロレンズを買ったりすれば、ほぼ9割方の撮影がカバーできそう。
写真撮影のレビュー
ZV-E1の一番のデメリットといえば、やはり画素数が少ないことだと思う。写真撮影の場合で最大約1210万画素、動画撮影の場合で最大約1010万画素しかない。iPhone SEの画素数とほぼ同じかそれ以下だ。
とはいえ、インスタに投稿するフィードやリール、ストーリーズのサイズは高々「1080×1920画素」であり、画素数でいうと「207万画素」程度。はてなブログに「はてなフォトライフ」経由で写真を投稿する場合、高々「1200×900画素」なので「108万画素」である。つまり1000万画素もあれば、SNSやブログに写真を投稿する用途であれば、画素数的には十分だということだ*5。もともとVLOGCAMシリーズは、そういった用途を想定してるみたいだし。
それに前述の通り、画質に大きく影響するのは画素数の多さではなく、センサーサイズ(厳密には、イメージセンサーの画素一粒一粒のサイズ)の方みたいだしね。その辺りのことは以下の記事の解説が分かりやすい。
イメージセンサーのサイズと画素数のおはなし - 中古カメラ・レンズ買取の専門店ファイブスターカメラ
つまり、イメージセンサーの画素一粒一粒が大きくなることには、写真の質に対していい影響を与えるファクターしか存在しないのです。ですので、画像の質の部分だけを考えた場合には、大きなイメージセンサーで画素数を欲張らないものが有利、と言うことになります。
他にも僕個人としては使っていて、画素数が少ないことによる以下のメリットを感じた。
- 写真編集ソフトLightroomなどでRAW現像したりAIノイズ除去するのが高速(特に、星の軌跡を撮影するときは数千枚のRAW写真を撮影して編集&現像するので、この恩恵が意外と大きかった)
- 写真1枚あたりの容量が小さくなるので、PCや外付けSSD、クラウドなどの保存容量を節約できる
- 手ブレやローリングシャッター歪みに強い
- バッテリー持ちがいい
- 高画素機に比べて熱停止しづらい
【図解】ローリングシャッター現象(歪み)って何?ローリングシャッター解説 - Image Sensor Info
それと「ZV-E1が得意の高iso感度によるRAW撮影+写真編集ソフトLightroomでAIノイズ除去」の組み合わせが最強だと感じた。この組み合わせであればハイスペックスマホでも絶対撮れないであろう高画質な夜景写真が撮れる。
星や建物の模様なんかがノイズと見なされて部分的に消されてしまったりということもあるようだけど、個人的にはまったく分からなかった(年々、AIノイズ除去の性能が向上してるのかも)。ブログやSNSに投稿する用のサイズに現像するときの解像感低下の影響の方がはるかに大きいんじゃないかな。
ちなみに以下の星の軌跡写真はZV-E1+SEL2070Gと、LightroomのAIノイズ除去を使って次の手順でつくったものだけど、星の軌跡も消えずにちゃんと写っている。プロの星景写真家から見たら下手くそかもしれないけど、カメラを購入してから1か月くらいでよく撮れたなーと思う笑
- 数秒置きに連射撮影したRAW写真をすべてLightroomに取り込んでAIノイズ除去
- Lightroomで明るさを調整したり、不要なものを黒で塗りつぶす
- LightroomでRAWからjpegへ現像
- Photoshopなどで比較明合成
個人的にZV-E1を使って写真撮影していて残念だなーと思ったのは、バルブ撮影ができないことかな。花火を撮るときとか、本格的に星景写真を撮るなら不便に感じるかもしれない。けど、それもLightroomやPhotoshopのようなポスプロソフトを使えば補えそうではあるけど。
動画撮影のレビュー
多くの人がレビューで書いてるように、ZV-E1は標準搭載されているマイクの音質がいいなーと思った。離れたところで遊んでいるキッズの声なんかもクリアに録音されていたのは感動した。ここもスマホと比べた際の差別化ポイントかもしれない。
ちなみに付属していたモフモフ(風防とかウィンドジャマーとかウィンドスクリーンなどと呼ぶらしい)は購入して1年くらいで紛失したので、今は以下のモフモフを使ってる。外れやすいので気を付けた方がいいよ。
あとよく見かけるのが、ソニーのカメラはAF(オートフォーカス)が爆速だというレビュー。僕は他のメーカーのカメラを使ったことがないので、これに関しては正直よく分からなかった。厳密にはカシオのコンデジを使ってたわけだけど、露出とかフォーカスとかよく分からずにテキトーに全オートで撮ってたのであまり気にしてなかったな、、、まぁでもAFが遅いと感じたことはない。
あとソニーのカメラは手ブレ補正のカクカク感が気になるとのレビューも見かけたことがある。これに関しても正直、他のメーカーのカメラを使ったことがないのでよく分からないんだけど、でも言われてみれば気になるかも。
しかし僕はこのカクカクを消す裏技を発見した。Catalystというポスプロソフトを使って手ブレ補正するとカクカクが消えて滑らかになるのだ。まぁ多少クロップされちゃうけどね。カクカクが気になる人はぜひ試してみて!
ちなみに手ブレ補正の他にも、レンズブリージング補正やローリングシャッター補正、水平補正なんかもできるみたい。
手ブレ補正/水平補正 - Catalyst Browse / Catalyst Prepare / Catalyst Prepare Plugin 機能互換情報
あと熱停止とかメモリーカードスロットが1つとか、その辺のこと。ZV-E1の購入を検討している人はここが一番気になるとこかなーと思う。YouTube見てると、プロのビデオグラファーはこのあたりの信頼性を気にするらしい。長回しで撮影(長時間録画)してる最中に熱停止したり、そもそも記録失敗したりするとクライアントとの信頼を失いかねないからってのが理由。
だが僕はカメラを使ってクライアントワークで稼ごうとは今のところ考えてないので、この点はまったく気にしてない(本業がクライアントワークなのに、副業で更にクライアントワークなんてしたくない!!)
ちなみに今まで4k60pで撮影していて、撮影中に熱停止したとか、記録失敗したとかは一度も起きてない。自動電源OFF温度の設定を「高」にする必要はあったけど。
まぁ言うても僕はワンショットで長くても数分程度の撮影しかしたことないから説得力ないな!この辺はカメラ系YouTuberが検証動画を投稿してるから参考にしたらいいと思うな!
おわりに
僕がZV-E1購入にあたっていろいろ調べたり、実際に使ってみて分かったのは「完璧なカメラは存在しない」ってことだった。
ZV-E1に関しては言えば、暗所での高感度撮影には強いけど、画素数が少ないのでクロップ耐性(写真を部分的に切り出した場合の画質の劣化耐性)が低い。逆に高画素数のカメラはクロップ耐性は高いけど、高感度撮影が弱い。
スマホやアクションカメラは小型で気軽に撮影できるけど、センサーサイズが小さいのでフルサイズのミラーレス一眼カメラに比べて画質の面では劣る(特に夜景)。一方で、ミラーレス一眼カメラはどれもそれなりの大きさなので持ち運ぶには邪魔だし、撮影してると目立つので気軽に撮れない、など。
大事なのは完璧なカメラを求めるのではなく、自分の用途を明確にして、それに合ったカメラを選ぶことだと思う。ZV-E1に関しては、僕みたいにネット副業で金稼ぎたいと思ってる人におすすめです笑
それでもどうしても完璧を求めたくなったら、写真編集ソフトや動画編集ソフトを使ったポスプロで、うまくカメラの弱点を補えないか?を考えてみるといいんじゃないかな。写真編集ソフトLightroomのAIノイズ除去や、動画編集ソフトCatalystの手ブレ補正みたいなね。
クソ長いレビュー記事になってしまった、、最後まで読んでくれてありがとうございました!当ブログのカテゴリ「スナップ写真記」に僕がZV-E1で撮影したスナップ写真なんかも載せてるので、よかったら見て行ってね!
ばいちむ
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今回紹介したカメラとレンズたち
星の軌跡写真を撮るにあたっては、この本が大変役に立った
*1:「ハイスペックスマホと格安スマホの年間あたりの実質価格差[円/年]」はスマホ代の他、スマホの下取り価格や買い替え周期などによって変化します
*2:ちなみにZV-E1にはファインダー(EVF)がないんだけど、そもそもファインダーって必要なくね?っていまだに思ってるくらいだから気にしなかった。だってスマホも液晶見ながら写真や動画撮るじゃない?カメラも液晶見ながら撮れれば十分って思うんだよね。太陽光がまぶしくて見づらかったら液晶の明るさを調整すればいいだけだし。ZV-E1の場合、晴天時の屋外撮影とかで液晶が見づらかったら設定で「モニター明るさ」を「屋外青天」にすればいいらしい。
*3:最大撮影倍率が大きいほど(最短撮影距離が短いほど)カメラを被写体に近づけて撮ることができる。つまり、近くにある小さいものを大きく撮影することができる。逆に、最大撮影倍率が小さいと、カフェでご飯を撮ったり物撮りなんかをするときに不便を感じると思う。一般的には、最大撮影倍率が0.2倍前後くらいのレンズが多い。なお近接撮影に特化したマクロレンズの最大撮影倍率は1.0倍、ハーフマクロレンズは0.5倍。
*4:カメラのレンズとボディの間に装着して、レンズの焦点距離を伸ばすカメラアクセサリーのこと。望遠レンズのように遠くの被写体を大きく撮影できるようになる。また最大撮影倍率も大きくなる。ただしその代償として開放絞り(F値)が大きくなり、画質も若干低下する。
*5:厳密には、画素数の多い写真や動画から画素数の少ない写真や動画に変換するときに「オーバーサンプリング」っていう技術が自動で使われるので画質が多少良くなるらしい。ただそれによる恩恵がどの程度あるのか、変換前の画素数は変換後の何倍くらいあればいいのかなど、僕もよく分かってない。詳しい人いたら教えてください。